
「時代に速い人」の中ではとっくに盛り上がっている「鉄フレーム回帰」。
バイシクルクラブでも特集されていたけれど、結局のところ日本の自転車文化において“鉄”を語るなら最後はNJS(競輪フレーム)に収束していくんじゃないかと思う。
選手がオーダーした世界に一台のフレームを中古市場で探す。自分のサイズや好みに合わせてまずはディグ。お気に入りのフレームが見つかったらオールドパーツや最新パーツで組み上げて緩く、ときに鋭く走るなんて日本の伝統工芸とストリートの融合。
NJSといっても現役のビルダーさんが作るフレームから今や伝説のブランドまで、まるで古着探し。

夏に組み上げたのは、富山ゆかりの競輪選手から譲り受けたハンドメイドNJSフレーム「Presto」。
ただの競輪フレームではなく、シングルフリーバイクとしてリビルドした一台だ。
ピストバイクといえば、やっぱりシンプルな固定ギア(フィクスドギア)で走る姿がかっこいい。
ホイールをロックさせる「スキッド」を熟知すれば、ハンドブレーキ以上の制動力を発揮できる。
完全ロックに加えてスライドで危険を避けられるのは、ピスト特有のテクニック。
ただし——
道路交通法では当然、ブレーキが必須。
競輪選手のようなノーブレーキスタイルで公道を走ることは、絶対に認められていない。
だからこそ、街で乗るならしっかりブレーキを装着するのがマナーでありルール。
ノーブレーキで楽しむのは、公園や河川敷などの遊び場でだけ。
「美学」と「現実」、その両立があってこそピストは長く楽しめる。

世界最高峰の精度と性能を誇る鉄フレーム——NJS認定のピストフレーム。
今回のビルドは、その象徴ともいえる「Presto」をベースに、シングルフリー仕様で組み上げた。
固定ギアと違って、フリーギアはブレーキがなければ止まれない。
だからしっかりブレーキを装着して“最新の街乗り仕様”に仕上げる。
構成はいたってシンプル。変速なしのシングルフリーバイク。
でもその周囲を固めるパーツは、時代とともに進化している。
-
タイヤ:PanaracerのAgilestシリーズ。路面抵抗を限りなく削ぎ落とした最新クリンチャー。
-
チューブ:チューブレスやチューブラーに迫る乗り味を持ちながら、ストリートでの扱いやすさと修理性に優れるTPUチューブ。
-
フリーギア:White Industries社の高精度フリー。究極にスムーズでロスがない。
- IZUMIチェーン タフネス改はまさに国宝級
シンプルな構成だからこそ、ギア比などの条件を揃えれば、理論上はハイエンドロードバイクよりもロスが少ない走りが手に入る。(空気抵抗考えず)
ロードやピストもグラベルよりになって太いタイヤが主流になる中、競輪フレームも工夫すればクリアランススレスレ32Cのグラベルキングが履けることも!?
そして遊び心としては、エイジングを楽しめるレザーサドルや、往年のトラック用クランクを合わせるのも面白い。
「ファッション」と「機能」のバランスで、自分だけの“一生モノの鉄チャリ”に仕上げていける。
BMXやダウンヒル用のピン付きフラットペダルをつければサンダルでも足元はグリップする
(三ヶ島も新たなフラットペダルを開発中だ!)
固定ギアが一番かっこいいという文字通り固定観念を捨てて、NJSを最新のフリー仕様で組んだら——
正直、まじでびびった。
-ひと漕ぎで惰性が100m続く。
河川敷のごくごく緩いくだりやちょっとした追い風程度でなんなら永久に進む??
見てかっこいい、磨いて楽しい、乗ったらやばすぎる
この無抵抗感は神様も想像しなかった運動効率のバグ??
これは新しい感覚だ。漕がないチャリ、流すチャリ。
キンキンって加速したらあとは流す。
自転車は漕いでなんぼだと思ってたけど、惰性をうまく使ってスタンディングポジションでカービング、ウイッピングしてどれだけ漕がずに進めるか繋いでいく
スノーボードやサーフィンのラインを繋いでいくようだ。
そして乗ってるライダーだけが知りうる驚愕の事実、カーボンやアルミの最軽量自転車は漕いだら軽いけど、流すと減速のペースが速い。
漕いでいないとじわじわ鉄フレームの方が前に出る。
まさNJS ローリング。
漕がずに転がす(空気抵抗なし)なら、鉄フレーム=重い方が転がる。
理由は単純で、
-
同じ勾配であれば、重い物体の方が運動エネルギーが大きい。
-
転がり抵抗(タイヤの変形やベアリング摩擦)は「荷重に比例」するけど、「エネルギー増加率よりは小さい」ので、結果として重い方が減速しにくく、長く転がる傾向がある。
重すぎる自転車はちょっと大変だけど、カーボンほどではないけど充分に薄くて軽いNJSシングルバイクは
漕がずに無抵抗滑走を味わえる無二の存在だった
10年までは難しかった最新パーツでの足回り。太めのタイヤの安定感と抵抗の少なさがミックスされた。
それが鉄と最新パーツのクロスオーバーが生む、新しいピストフレームの快感だった。

固定ギアのピストにブレーキを付けるとき、多くは「まあ一応付けました」的な、控えめで緩いアッセンブルになりがちだ。
かといってこだわってデュラエースのブレーキをつけると本気度は出るけど、、
誰よりもブレーキ無しでも止まれることを知っているピスト乗りが
よく効くブレーキを選んでいる心の矛盾にハマることになる
でもシングルフリーNJSなら話は別。
フリーだからこそ走りをコントロールするために、そして安全のために、ブレーキで魅せていくことがスタイルになる。
ビンテージのカンパ・スケルトンか、現行のシマノか。
NISSENの高級ワイヤーを選んで引き心地を突き詰めるのもいい。
「しっかり止まれる」ことが、この鉄チャリを完成させる最後の美学だ。
そしてハンドルは、トウーレイトスポーツ流にグリップレススタイル。
ピストブームの頃に鉄ハンドルを直に握っていた感覚が蘇る。
金属を直接握るからベタつきもなく、コンビニで肉まんをかじった後でも清潔感はキープできる。
競輪選手が戦いを終えたフレームを、街乗り仕様に組み直す。
それだけで“AKIRA的”で、“マッドマックス的”な世界観が漂う。
ビルダーが一台ずつ選手を思って溶接した鉄のフレームは、時を経てもなお生き続ける。
アルミやカーボンの軽快さとは違う、鉄フレームならではの安定感とリズム感。
直線とターンだけではないウイッピングに必要なフレームの「しなり」
そして、NJSという規格が積み上げてきた信頼性。
乗ればわかる——鉄最高。
触れば納得——NJS最強。
そんな実感を、この一台が日常に運んでくれる。





固定ギアで大阪まで300km走った夏がありました。そして今日も通勤30kmをシングルで走っている社長がいる(もう20年ちかく)
様々な車種を扱いながらも、やっぱりNJSに魅了され続けているトウーレイトスポーツ。
通販でなんでも購入できる当店ですが、店頭限定でしかご紹介していないNJSフレームのストックが存在します。
鉄フレームってただの細い自転車だと思ってた
でも俺は知ってしまった
その鋭さを
世界に一台だけの価値を
ビルダーと選手の血と汗の結晶を
そのバイブスをこの街で受け継ぐことを。
-紅きNAGASAWA
-メッキの三連勝
-蒼青カラビンカ
自分好みの一本と出会えたときの感覚は、
まるで隅で掘り出したビンテージジーンズ。
手に取った瞬間に湧き上がる高揚感だった。
何を着るかがセンスなら
何に乗るかもセンスやろ?
このまちで遊ぶのに
自転車がどうでもいいわけ
ない
NJSフレームビルド。
固定ギアで、はたまたフリーギアで。一生モノの一台組み上げたい方、ぜひ店頭でお待ちしております











